渦中のコインチェック社の大塚雄介COO(c)朝日新聞社
渦中のコインチェック社の大塚雄介COO(c)朝日新聞社

 580億円分の仮想通貨が流出した「コインチェック」(東京都渋谷区)に対し、金融庁は2月2日、立ち入り検査を始めた。1月29日の業務改善命令に続く行政措置で、今後は検査官10人が同社内に常駐し、資料提出を求めたり、幹部からの聞き取りをするという。

 フェイスブックが仮想通貨の広告を全世界で禁止すると発表するなど、本当に大丈夫なのかと不信感が高まっている。経済評論家の森永卓郎氏はこう指摘する。

「『仮想通貨』の民間の取引所はこの先、衰退していくとみています。今は完全にバブル。過渡期の仮想通貨に手を出していいことはないと思います」

 通貨の価値の裏付けに問題があるという。

「日本円は信用が担保されているし、法律によって強制的に支払いに用いることができる強制通用力を持っています。ところが仮想通貨にはそれがまったくない。ではなぜ価値があるかというと、需給の関係で価値がついているだけで、通貨というよりも投機対象でしかないんです」(森永氏)

 また、発行枚数に上限が設けられていて、いずれは新規発行されなくなる点も不安材料だという。上限への不安について、仮想通貨に詳しい専門家の楠正憲氏は異議を唱える。

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
次のページ