狭き門となった加計学園の新設獣医学部(c)朝日新聞社
狭き門となった加計学園の新設獣医学部(c)朝日新聞社

 学校法人加計(かけ)学園が愛媛県今治市に4月に開校する、岡山理科大学獣医学部の競争率が高まっている。同大学のホームページによると、獣医学部・獣医学科一般入試(前期、SAおよびSAB方式)には定員38人のところに、816人が出願。競争率は21.5倍と狭き門になっている。

 加計学園理事長の加計孝太郎氏は安倍晋三首相の“腹心の友”として知られ、獣医学部新設を巡っては、国会での説明不十分などが指摘されてきたが、受験生の人気は高いようだ。

 獣医学科を出て国家試験に合格し獣医師になれば、将来安定した収入が期待できる。医師や薬剤師らと同様に人気がある職業だ。獣医学科がある大学は国公立で11校、私立では加計学園のほかに5校しかない。私立の入試倍率は大半が20倍前後となっている。大学通信常務の安田賢治さんはこう解説する。

「獣医学部を目指す人は農学部などほかの学部を受けたりはしない。選択肢が新しく増えたことで、出願が殺到しているのでしょう」

 岡山理科大のホームページでは「私立大学で西日本初の獣医学部が誕生」とアピール。東京や北海道の大学に行かなくても獣医師になれるチャンスがあるため、関西や中四国を中心に関心が集まっているようだ。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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