一方、全員当選を果たした八角執行部はこれから反撃だと、息まいている。


「当選した執行部の理事は『貴乃花はマスコミを使って今の執行部が悪の権化のように散々、報じさせた。今度はこっちがやり返す』と言っていた。貴乃花一門も混乱し、『これからまとまっていけるかな…』と心配する親方もいる。錣山親方(元関脇の寺尾)も無所属のままでしょう。貴乃花親方の人気でうまく、浮動票をとって副理事になれる目算で一門を飛び出したのに、当てが外れて落選。あちこちの一門が、勢力を伸ばそうと貴乃花一門に手を突っ込むはず。八角理事長はあと2年で終わりでしょう。次の理事長を狙う、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)や尾車親方(元大関・琴風)あたりは数を増やしたい。尾車親方は、二所ノ関一門で貴乃花親方とも元は同門。尾車親方に近い親方は『過去は過去。水に流して戻ればいいじゃないか』と話しています」

 3月には理事長選が控え、八角理事長の再選は確実とされ、高砂一門の関係者はこう自画自賛する。

「八角さんは人望がある。やはり人気がないと何もできないな」

 今後、貴乃花親方の巻き返しはなるのか。
「貴乃花は現役時代は最高の横綱だった。それに対するイメージや畏敬の念は持っていた。だんだん、親方たちは時がたつにつれて距離をおくような見方に変わっていった。貴乃花親方が今回の結果を謙虚に受け止めて、自分の思いをブログや文書ではなく、みずからの生の声で発言すべきだと思う」(杉山氏)

 角界から当分は目が離せない。(本誌 上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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