理事選に落選した貴乃花親方(C)朝日新聞社
理事選に落選した貴乃花親方(C)朝日新聞社

 「貴の乱」は不発に終わった。日本相撲協会は2月2日、2年に一度の理事選挙を行ったが、注目された貴乃花親方は落選。一体、なぜこうなったのか。

貴乃花親方が支援者に宛てた決意メールはこちら

《一門の団結で、理事を送り込むことができました。うちは離脱者がなく、一門の力を誇示することができた結果です。この選挙は、現体制が信任されて、そして協会の再生が期待されていることの現れ。理事長選挙でも、一門が一体となって現体制を支援すべく、行動してゆきたい。皆様のさらなる、ご協力、ご支援をお願い申し上げる》

 これは理事再選を果たした八角理事長派の親方が支援者に出したメールだ。

 八角執行部と貴乃花一門の熾烈な権力闘争はテレビ、週刊誌などで派手に報じられたが、蓋を開ければ、立候補した親方11人のうち八角理事長派の親方たちがぞくぞくと当選。

 一方、「捨て身」で立候補した貴乃花親方が獲得したのはたった2票で、最下位に沈んだ。

 選挙前は「私は1票だけでいい」と笑顔で決意を語っていた貴乃花親方だったが、理事選の開票を終え、報道陣に囲まれた顔は無表情で無言。一言も発せず、車に乗り込んだ。

 貴乃花派の親方はこう語る。
「正直、開票結果は驚きだ。貴乃花親方は4~5票以上、阿武松親方(元関脇・益荒雄)は9票と読んでいた。それがどちらも減らすとは……。投票が候補者名を書く記名式で、文字の形や筆跡でバレる可能性があった。一門の締めつけが厳しく、浮動票を入れようにも入れられなかったのではないか」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今後、角界から孤立しそうな貴乃花親方