彼女の大きな魅力の一つは、20代の女性が抱える恋愛面での複雑な心や悩みを正直に打ち明け、率直に表現している点だ。

 スローなネオ・ソウル風の曲「ザ・ウィークエンド」では“私の彼は自分のもの 私の彼はあなたのもの そして私の彼はあの子のもの”と繰り返す。“彼”には“私”以外に2人の“彼女”がいるわけだが、そんな“彼”を週末だけでなく、独り占めしたい。“少なくとも週に4日は会いたい”と“彼”に迫る。

 シンプルなギターのコード・ストロークをバックにした「スーパーモデル」では、別れを決めた恋人に対し、新しくできた彼女が“アレをしゃぶってくれるわよ”と歌う。一緒にいた思い出に触れ、“あなたのモノは最高だった”という歌詞も。

「ダヴズ・イン・ザ・ウィンド feat. ケンドリック・ラマー」ではゲスト参加のケンドリックと互いに挑発的なやりとりを見せる。“あなたが本当に考えてることはお見通し~正しい男のために脚を大きくひろげたいのよ あなたがその男になってくれる?”“自分の心をラクにしてあげて 自由に乗っかるの”と歌いかける。

 そんな明け透けな表現の一方で、「ブロークン・クロックス」では終わった恋の追憶が語られる。「ガーデン(セイ・イット・ライク・ダット)」も昔の恋人への思いを歌った曲だが、“あなたは大きなお尻の女の子と寝たいよね 超ポジティヴ・ボディの女の子”とお尻が小さいのを嘆いたりするのがユーモラスだ。「ラヴ・ガロラ feat.トラヴィス・スコット」は別れた男から言い寄られ、揺れる女心を歌う。SZAの祖母が登場し、“何も言わないのであれば、自分のことをちゃんと喋った方がいいわ、じゃないと、馬鹿だと思われるから”と教訓をひとくさり。

「ゴー・ジーナ」はSZAの過去も重ねられ、「プロモ」では大人になり切れないことへの不安が歌われる。“あなたがママに紹介できるようなタイプの女の子 私のパパが誇りに思うような女の子だったらよかったのに”と歌われる「ノーマル・ガール」では、反抗的で奔放だった青春期も重ねつつ“アグレッシヴ”に攻める自身をそのままに歌ってみせている。

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