"高橋大輔(たかはし・だいすけ)/1986年、岡山県生まれ。2010年、バンクーバー五輪で、日本男子初の銅メダル を獲得。平昌五輪では、フジテレビ系列オリンピアンキャスターに就任(撮影/山本倫子)"
高橋大輔が予想するメダル候補(週刊朝日 2018年2月9日号より)
高橋大輔が予想するメダル候補(週刊朝日 2018年2月9日号より)

 羽生結弦は連覇できるのか? 宇野昌磨の追い上げは? 2月9日に開幕する平昌五輪のフィギュアスケートが始まる前に、知っておきたいシングル男子の選手情報、観戦のコツを高橋大輔さんに聞いた。

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──高橋さんが予想される平昌五輪の表彰台候補は?

 羽生結弦、宇野昌磨、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)。ネイサン・チェン(米国)、パトリック・チャン(カナダ)も表彰台の可能性はありますが、勢いという部分で見るとちょっと厳しい気がします。金博洋(中国)も表彰台候補の一人ですね。

──では選手一人ずつについて、語っていただけますか。まず羽生選手から。

 残念なことにけがをしてしまいましたが、彼は自分自身成長しながら全体を引き上げてきました。そんな中で下から追い上げられても、それを取り入れてさらに成長してきた。常にトップでいたいという気持ちは全選手の中で一番強いのではないでしょうか。自分にプレッシャーを毎日与え続けてきた中で、けがもあった。そういう意味で葛藤もあったと思うし、精神的に強くなって演技に深みが増してきたと思います。また今シーズン、後半でもスピードが落ちなくなり、完成度を高めてきました。4回転ルッツがなくても勝てると思いますが、彼はできるからこそ入れたいのだと思う。また周囲を自分の世界に引き込む力が強い。これはもともと持っている人でないと出せません。そこは彼の強みだと思います。

──宇野選手は。

 以前の羽生選手を見ているみたいなイメージです。どこまで成長していくのかな、という段階のときにオリンピックが来た。今、勢いに乗っています。ここでオリンピックが来たというのは運の強さも持っているのでしょう。彼は後半でもむしろスピードが上がってくるくらい、最後まで体力があるのが強みです。その中で難しいジャンプも入れて、成功しても失敗してもプログラムの流れが絶対に止まらない。そういったところはすごく練習をしてきたのだなと思います。

──スピンの評価も高いですね。

 でも僕は、スピンは羽生選手のものが一番好きです。足の流れが、きれいなんですよね。シンプルなキャメルスピン、シットスピンなどもきれいだなと思います。

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