二人の関係には嘘や意地がなさそうで、プロデューサー・小室哲哉ではなく、人間・小室哲哉でいることができたのだろう。

 結婚しても本当の自分を出せない人なんてたくさんいるだろう。家に帰った途端、その自分を演じなければいけない人も少なくないはずだ。

 本当の自分でいられる人と出会えるのって、奇跡的なことだと思う。

 そんなKEIKOさんが病に倒れて、表舞台から姿を消した。妻・KEIKOさんの介護をしている中での記事。

 小室さんはKEIKOさんのことを絶対に愛しているはずだ。愛しているのに、なぜ、あんなことをするんだと糾弾する人が多いのもわかる。

 僕が10年前に見た小室さんの姿は、本当に人を愛する男性の姿であったし、その気持ちはきっと変わらないと思いたい。

 介護という、経験した人にしかわからない生活の中で、小室さんの行動が、KEIKOさんにとって裏切りだったのかどうか? 周りがどれだけ推察しようが、それはKEIKOさんしかわからないことだと思う。

週刊朝日  2018年2月9日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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