1月23日、26年ぶりに終値で2万4000円台を回復した日経平均(c)朝日新聞社
1月23日、26年ぶりに終値で2万4000円台を回復した日経平均(c)朝日新聞社
65歳からの株式投資【東証1部市場変更期待銘柄】(週刊朝日 2018年2月9日号より)
65歳からの株式投資【東証1部市場変更期待銘柄】(週刊朝日 2018年2月9日号より)

 年金受給開始75歳論議が浮上するなど、老後資金の自己防衛をこれまで以上に真剣に考えさせられる時代となった。少額で誰もが参戦できる株式投資は、初心者のシニアにとっても有効な選択肢となる。株高が続く、今こそお薦めしたいのは、新興銘柄だ。日本証券新聞社代表取締役社長を12年務め、独立した「株式会社メディアストラ」代表の天野秀夫氏がその理由を明かす。

【図表】65歳からの株式投資にお薦めの銘柄はこちら

 買いのターゲットにする新興企業の情報収集はどのようにすればいいのか。

 企業のホームページの「IR情報」「株主・投資家の皆様へ」というコーナーで資料とともに掲載されていることがほとんど。投資のヒントは企業HPに「宝箱」のような形で置かれている。このほか、企業の事業・業績説明会に参加し、企業経営者の声を直接聞くことも参考になる。

 新興企業は年2回以上の投資家説明会を開催することが取引所から義務づけられており、ほとんどが無料で参加できる。会社側が独自に行ったり、日本証券アナリスト協会などが主催したりしている。会社側に連絡すれば親切に教えてくれるケースがほとんどだ。証券アナリストによる企業レポートを取引先の証券会社から入手する方法もある。意外と負担を感じずに企業の投資情報を得る手段は多いのだ。

 投資効率を上げるための株式市場ならではのテクニックもある。

 新興企業の「東証1部への市場変更」はその一例だ。東証1部企業となると優秀な人材の募集に有利となるほか、資金調達の選択肢が増えるといったメリットが企業側に生まれる。

「M&A業者などからの提案が顕著に増加し、金融機関の態度も一変する」(某上場企業役員)といった効果もあるのだ。

 そして、東証1部銘柄となると、翌月の月末2営業日前の株価終値が、東証株価指数(TOPIX)算出の対象になる。指数売買を行う機関投資家の買い需要が新規に発生するという株式需給面でのメリットが生じることになる。また、東証1部銘柄になるということは、株式ファンドの組み入れ対象となりやすく、海外機関投資家の買いチャンスも広がる。そのため、マザーズやジャスダック銘柄の東証1部への市場変更が発表されると株価が上昇するケースがほとんどだ。

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