西村:明治時代につくられた民法だから、本当にいろいろ変えていかないと。

野田:明治時代の民法をつくったのは江戸時代に生まれた人ですよ。このご時世に、江戸時代の日本人と同じことをさせること自体が国会の不作為です。

西村:私は16年に初めての子どもをもって、昨年2月から国会に復帰したんですが、ワーク・ライフ・バランスは口で言うほど簡単でないと思い知らされました。野田さんは先日、息子さんを連れてフィリピンに出張に行かれたんですよね。

野田:子どもがいるから出張できないのはナンセンスで、帯同しても仕事に差し支えなく、結果が出せればいいと思ったんです。みんなまだ遠慮しているので、私が突破するしかないと。次の人が私を前例にして言い訳してくれればいい。

西村:家族の渡航費や宿泊費は自費で負担すると、事前に発表をされていた。根回しや段取りをよくしていただいたことも含めて、後に続くロールモデルができたと思うんですよね。

野田:その点は気をつけました。最初、総務省は「そんなこと、他の大臣はしません」と。それでも念入りに準備して、事前に告知もした。その点、昨年11月に本市議の女性が議場に赤ちゃんを同行して物議を醸した問題では、根回しなしの不意打ちだったことで批判されてしまった面があると思います。

高木:難しいところですよね。熊本市議の方の気持ちもすごくわかるし。

西村:そうですね。私も一瞬、子どもを連れていきたいと思うときもあります。

森:確かに批判もありましたが、政治家の仕事は問題を「見える化する」ということ。子育て世代の女性が政治に参画するときにそういう問題があるんだ、と社会に認識させる意味がある。「じゃあ世界はどうか?」という議論にもなります。

西村:ニュージーランドなどでは、議場で赤ちゃんに授乳するのも当たり前。今回初めて知ったという方もいらっしゃるでしょうね。

三原:ああいうことが大きく取り上げられてしまうこと自体、今の環境が追いついていないということを示していますよね。野田大臣の出張も、マスコミに大きく取り上げられる。日本ももう少し、変わっていかなければいけない。

高木:まったくそのとおりです。でも、なかなかそうした声の盛り上がりが一つに集約されない。現実に西村:明治時代につくられた民法だから、本子育て中の人が国会や地方の議会に赤ちゃんを連れて傍聴に行ける環境は、まだ整っていない。いろいろな声を集めるシステムをもっと整備していかないといけない。

(構成 本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2018年2月9日号より抜粋