特に、共働きだと「妻がそのまま働き、自分は親のために辞める」という選択肢を選びがちだ。しかし、子どもの大学進学などが控えていれば、家計は苦しくなり、新たな借金を背負うことにもなりかねない。

 離職を踏みとどまるため、介護休業、介護休暇、短時間勤務制度など、使える制度をおさらいしておこう。

 特に、介護休業は、雇用保険から介護休業給付が出る。在宅勤務制度や、就業時間の繰り下げや繰り上げなど、独自制度を設ける企業もある。突然慌てることがないように、勤め先の就業規則を確認しておこう。

 筆者は10年前から母を介護しており、当時は要介護2だった。特別養護老人ホームへの入居は無理で、ショートステイを使いながら在宅介護をした後、ケアハウスに入居した。

 ケアハウス入居で在宅時より費用負担は増したが、介護負担は少なくなった。施設には週1度通い、病院に連れていっても精神的な負担がない。介護を続けるうえでとても大きかった。

 施設入居は、「親を捨てることになる」とためらう人も多い。しかし、在宅介護にこだわる余り、会社を辞めると、親を看取ってから自分の老後の暮らしが危うくなる。

 介護は長期戦。施設入居は介護離職を食い止める有効な手段だろう。自宅で過ごしたいと思う親に対し、「自分が会社を辞めて向き合うしかない」と思い込みがちだ。しかし、施設も選択肢に含めるなど、会社を辞めずに介護と仕事を両立させる様々な術を探りたい。

週刊朝日 2018年2月2日号