妻:私はぷかぷか浮いてて、ボーッとしてたところへ、彼が飛び込んで助けに来てくれた。水泳部だったから。

夫:反射的に動いただけなんですけどね。

妻:お礼に「みんなでご飯でも」って話になったのに、双方とも友達は「大切な帰国前夜の食事を、知らない人と?」とブーイング。

夫:とりあえず、連絡先だけ交換したんだよね。

妻:でも私は東京、彼は関西。もう会うこともないだろうなと思ってました。

――帰国後は、妻は東京で出版社に、夫は関西でシステムエンジニア(SE)としてIT企業に就職した。

妻:それから3年ぐらいは、ほとんど会うこともありませんでしたね。唯一のつながりは、文通だけ。

夫:パソコン通信ぐらいしかなかったころですから。

妻:本当は、理科の先生になりたかったのよね?

夫:大阪府の教員採用試験も受けたんだけど、落ちた。

妻:けんかした、って言ってなかった?

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