「通勤通学の途中で買って、小腹がすいたらパクッと食べられるような、そういう商品はうちらしいよね、と」

 焦点は素材選びに移った。レーズンやりんご、芋……。どれも決め手に欠く。菓子のトレンドリーダーは20~30代の女性とする仮説のもと、男3人ではやりのカフェにも出かけてみた。

「銀座のアンジェリーナでモンブランを食べて、『栗、おいしいよね』となったんです。メンバー全員が栗好きだったこともあって。それで、これでいこう、と」

 試行錯誤は続いた。まずは栗をペースト状にし、砂糖や香料を加えるアイデアが浮かんだ。「『ポケットモンブラン』というネーミング案もあったんですがね(笑)」。略せば「ポケモン」。大ヒットゲームにあやかった商品名だった。

 しかし、当時は健康志向から「甘さ離れ」が加速したころ。「甘い飲料や砂糖を使うお菓子は売れなくなりつつあって、消費者の嗜好(しこう)に大きな変化があった」と有賀は振り返る。

次のページ