「そうなんです。ITは情報の整理には優れているが、物事を俯瞰(ふかん)的に考えられるのは、アナログカレンダーが勝っています」(前出の強口さん)

「数字」を見て、「情報」を読み、「メモ」を書く。カレンダーの3大要素なのだという。

 たとえ嫌な予定でも、「書くこと」で前向きな気持ちになれるかもしれない。

 昨年12月に開催された国内最大級規模の文具の祭典「文具女子博」で見つけた「スクラッチデスクカレンダー」(ハイタイド)がその一つだ。黒板のような黒地素材の紙で、そこに付属のスティックで文字を書くと、その文字がレインボー色に浮き上がる。書き味もソフトで、色までキュート。こんなに可愛い色味だと、おのずとテンションが上がる。

 トーダンが昨年9月に発売した「ポップ・カレンダー」(壁掛け・卓上)は女子力まで上げてくれそうだ。付属の白・水色・ピンクの3色のペンを使い分けて書き込む。壁掛けタイプをリビングの質素な白い壁に飾ってみると、一瞬でカフェのような雰囲気に! 黒地に浮かぶピンクの文字が目立ち、部屋のアクセントになった。ティッシュで拭けば何度でも書き直せる。余白も多く、ペンを片手に何を書こうか、週末はどこへ行こうかと、ワクワクしそう。

 カレンダーにハマる理由はどこにあるのだろう。

 強口さんは海外出張先でも必ずアンティークショップを訪れるほどの筋金入りのカレンダーコレクター。カレンダーから歴史を感じ、文化を知ることができる。だから魅力にとりつかれるのだという。

 米カリフォルニアで買ったという1938年のカレンダーはバネ入りでめくって残すタイプのため、80年も前の使用者の手書きのスケジュールがそのままで、感動が芽生えたという。書き直しの跡もあり、クリスマスシーズンは書き込みだらけだった。「この方、クリスマスはとても忙しかったのでしょうね」(強口さん)

 デジタルにはない発見や喜びがカレンダーにはある。日々記入していく作業は決意表明のようなもの。カレンダーとともに前を向いて過ごしたい。今年もまだ始まったばかり。

 まだ真新しいカレンダーに、みなさんはどんな予定を書き込むのでしょうか。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2018年1月26日号