「これまでも日本でK−POPが下火になっていたわけではありません。ライブも継続して開かれ、お客さんもかなり入っています。ただK−POPというジャンルの中での盛り上がりが大きく、表向き、人気は下火に見えたかもしれません。そうした状況下、大衆的人気を獲得したグループが出て来たのです」

 確かに、TWICEは、幼稚園児がダンスをまねするなど人気のすそ野が広がり、BTSはビルボードのチャートを沸かせている。

 では、なぜ今、そうしたグループが日本の音楽界ではなく、K−POPから出て来たのか──。

 始まりは、20年ほど前にさかのぼる。タイを震源地としたアジア通貨・経済危機は韓国にも波及。IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれた。経済危機を克服するために金大中大統領(当時)が掲げた政策が、コンテンツ産業の振興とITインフラの整備だった。

「このとき『ネットで何をするのか』までは見えていなかった。結果、コンテンツを悪用され、音楽業界は危機に陥りました」

 つまり、海賊版が横行し、「音源を売る」ビジネスは崩壊寸前に追い込まれた。そこからの復活のキーは一体何だったのだろう。

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