しかし、次々出てくる登場人物はさすがNHKってな豪華キャストだ。歌舞伎から中村獅童、ミュージカルから中川晃教、落語から林家正蔵、「3年B組金八先生」から武田鉄矢。なんだか妖怪・油すましみたいな恰好した(ほんとは牧童)米良美一までいる。そんな朝ドラや大河ドラマなみのキャスティングだから、場面場面が熱演大会でもう大変。ものすごく重厚な芝居で、「ルイシャ(宝石)贈りの儀式」とか「ヒョウル(闇の守り人)」なんて聞いたこともない新単語を投げかけられるから、「おい金八(武田)、何言ってるんだ?」と、またこっちの頭が真っ白になる。超豪華なおせち料理を終始闇鍋状態で食わされてる感じ。
そんな中で、バルサの育ての親・ジグロを演じてる吉川晃司の渋さは格別。常に寡黙で、自分の想いを伝える手段は槍を交えることという「自分、不器用ですから」キャラなのだ。よってファンタジー的セリフは少なめ、おせちで言えば田作りみたいな骨のある安心感で、ほんと助かる。
※週刊朝日 2018年1月19日号