林:今、総務省の大きな課題は何ですか。

野田:やっぱり地方ですよね。都会との格差がどんどん広がっています。高齢化で子どもが増えないから、たとえば農業でも若い働き手がいなくなる。一方、都会の人は、地方の安心安全な食べ物をあまりにもあたりまえに享受しているんですよね。少なくとも子どもたちは、どこで生まれてもどこで育っても、十分な教育が受けられるように、地方の足腰を強くしなくてはいけない。それが総務省の仕事だと思います。

林:具体的にはどういうことをなさるんですか。

野田:たとえば地方の法人税。

林:企業が納める税金ですね。

野田:あれは本社があるところに納めるんですよ。だから東京にいちばんたくさん、自動的に入ってくるわけです。でも、私の地元の岐阜や林さんの山梨には、大企業の本社があまりないから、税収が少ない。地方はカツカツの財源でやっていて、都市は企業が集中しているからお金が入ってくる。その差はかなり厳しいなと思うんです。

林:その分、地方は地方交付税やふるさと納税がありますよね。

野田:ふるさと納税は個人の自由だから、一生懸命PRしているところにはお金が行くけど、全部のところに行くわけじゃないんですね。

林:地方の商店街はどこもシャッター街で、全国チェーンの大型店も活気があるのはイオンだけ、というイメージですよね。

野田:山梨の人が使ったお金は山梨の収入になるのがあたりまえなんですけど、消費のあり方も多様化して、ネットで買っちゃったり、隣県の大都市のショッピングモールに行って買ったりする傾向が強まっているんですよね。地元の人が使ったお金は地元がもらえるようにしないと、お金が大都市に集中してしまうんですよね。だから今回の地方消費税の都道府県への配分見直しも、結果として偏在が小さくなって地方が努力した結果が報われるようになるんです。

林:地方再生といいますけど、まだ実がなってない感じがしますね。

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