C型肝炎治療の治療は飛躍的に進歩している(※写真はイメージ)
C型肝炎治療の治療は飛躍的に進歩している(※写真はイメージ)
C型肝炎治療で使われる飲み薬(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
C型肝炎治療で使われる飲み薬(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)

 肝がんの原因となるC型肝炎。従来は注射薬での治療が中心だったが、2014年から飲み薬が次々と登場している。17年11月にも新たな薬が使用できるようになり、ほとんどの患者のC型肝炎が飲み薬で治るようになった。

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 血液を介して感染するC型肝炎ウイルス。一度感染すると、約7割の人は感染が持続し、慢性肝炎や肝硬変、肝がんになりやすくなる。実際、肝がんや肝硬変の患者の約6割は、C型肝炎の感染者だ。このため、C型肝炎ウイルスに感染していることがわかったら、肝硬変や肝がんを予防するために、ウイルスを体内から除去する治療が必要だ。

 1992年以降、C型肝炎は、インターフェロンという注射薬を中心とした治療が実施されてきた。しかし、発熱、関節痛、全身の倦怠感、貧血、食欲不振などの副作用があるほか、治療期間が半年~1年と長い。帝京大学病院消化器内科教授の田中篤医師はこう話す。

「C型肝炎治療の目的は肝がんの予防であるにもかかわらず、インターフェロンは副作用が強いことから肝がんのリスクが高い高齢者や肝硬変の人には使えませんでした。それが最大の問題だったのです」

 また、せっかく副作用に耐えて治療をしても、効く人と効かない人がいることも問題だった。

 C型肝炎は遺伝子の特徴によっていくつかのタイプに分けられる。日本人の約7割が「1型」タイプ、残りの約3割が「2型」タイプだが、インターフェロンが効きやすいのは2型だ。

 こうした問題を解消するために、2014年に登場したのが「直接作動型抗ウイルス薬」という飲み薬だ。インターフェロンが、ウイルスを破壊するタンパク質を活性化するという間接的な作用だったのに対して、飲み薬はウイルスを直接攻撃する作用がある。この薬により、治療効果が飛躍的に上がった。

 14年に保険が使えるようになった「ダクラタスビル」(商品名ダクルインザ錠)と「アスナプレビル」(商品名スンベプラカプセル)の併用治療を皮切りに、治療期間12週間の「レジパスビル/ソホスブビル」(商品名ハーボニー配合錠)や、「グラゾプレビル/エルバスビル」(商品名グラジナ錠/エレルサ錠)など、次々と新薬が登場。17年11月には慢性肝炎であれば治療期間8週間の「グレカプレビル/ピブレンタスビル」(商品名マヴィレット配合錠)が発売され、12月には「C型肝炎治療ガイドライン」が改訂された。

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