市販されている軽失禁用パッド。さらピュア、ポイズ、スマートガード(男性用)、リリーフ、インナーシート(左から)(撮影/写真部・小山幸佑)
市販されている軽失禁用パッド。さらピュア、ポイズ、スマートガード(男性用)、リリーフ、インナーシート(左から)(撮影/写真部・小山幸佑)
尿もれに関連する生活習慣(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
尿もれに関連する生活習慣(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
尿もれによって気が落ち込むことがありますか?(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
尿もれによって気が落ち込むことがありますか?(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
一日中家にいる日はどのくらいありますか?(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)
一日中家にいる日はどのくらいありますか?(週刊朝日 2018年1月5-12日号より)

 くしゃみや咳をしたときや、トイレで排尿した直後に「あ、もれちゃった……」。心当たりのある人は多いのではないだろうか。最近では、尿トラブルは健康寿命にも影響を及ぼしかねないこともわかってきた。たかが頻尿、尿もれ、では済まされない。改善法や対策の意外な盲点をまとめた。

【尿もれに関連する生活習慣はこちら】

 冷えも尿トラブルを引き起こす要因の一つ。漢方医学を専門とする北里大学東洋医学総合研究所(東京都港区)所長の小田口浩さんのもとにも、尿トラブルを訴えて受診する人が多い。ほとんどの人が冷えを実感し、腹巻きをするなどの対策も施している。だが、「冷えに対する誤解がある」(小田口さん)と言う。

「例えば、この時期、お風呂で熱いお湯に首まで浸かる人がいます。これは上半身に熱をこもらせるだけで、下半身の冷えの解消にはつながりません」(同)

 ぬるめの湯にゆっくり浸かるほうが大事だという。

「尿トラブルは、『腎虚』という加齢に伴う症状の一つとして現れる場合があります。あらがうには熱をつくる下半身の筋肉を鍛えること。ウォーキングなどで積極的に身体を動かすことが大切です」(同)

 尿トラブルで悩む人なら一度は「骨盤底筋体操」に挑戦したことがあるかもしれない。この体操について、東京都千代田区にある四谷メディカルキューブ泌尿器科部長の嘉村(よしむら)康邦さんが注意を促す。

「骨盤底筋を鍛えるためのトレーニングで、切迫性尿失禁にも腹圧性尿失禁にも有効であることが証明されています。問題は、この体操を正しくできている人が少ないということです」

 自己流で始めた人は、腹筋やお尻の筋肉に力を入れてしまいがち。それでは骨盤底筋が鍛えられず、効果が得られない。

「本来は、骨盤内の臓器や筋肉などに詳しい理学療法士や看護師に、骨盤底筋がどこにあるのかきちんと指導してもらって、正しいやり方を覚える必要があります」(嘉村さん)

 残念なのは、医療機関に指導できる理学療法士や看護師がまだまだ少ないということだ。今すぐに正しく骨盤底筋体操を行うにはどうしたらいいか。基本的なやり方を紹介しよう。

【1】イスに座るか、仰向けになるかして、リラックスする。【2】腟と肛門に意識を向けて、締めていく。【3】おへそのほうに持ち上げる感じで、息を吐きながら5~10秒間静止する。

「おならをガマンするような感覚で肛門を締めること。実際に骨盤底筋を使っているか確かめるには、肛門と腟に指を軽くあててみましょう。収縮を感じるといいと思います」(同)

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