西村さんの説明によると、太っておなかに脂肪が付くと、腹圧(腹部内臓への圧)が高まる。それらを支える骨盤底筋群にも圧がかかり、さらに締める力が低下。そのため尿もれを起こしやすくなるという。

 塩分摂取と尿もれの関係についてはこうだ。

「塩分をとりすぎると、身体は過剰な塩分を排出しようと尿をたくさん作ります。そのため、頻尿になりやすく、トイレに間に合わずに尿がもれてしまうと考えられます。もちろん、味の濃い料理を食べると喉が渇きます。水分をとりすぎれば尿量が増加し、尿もれにつながります」(同)

 つまり、肥満気味で尿トラブルがある人は減量し、塩分摂取を控えることが大事なポイントになる。

 生活習慣に関しては、上田さんもこう指摘する。

「実は健康によかれと思ってやっていることが、尿トラブルを招いている場合があるのです」

 一般に摂取した飲食物は、栄養が吸収された後、排泄される。そのなかに、不要な成分や有害な成分が含まれていた場合、生体防御のメカニズムが働き、膀胱はそれらの成分をできるだけ早く体外に出そうとする。

「普段とっている食品やサプリメントなど、一般的には健康に良いといわれているものも、多くは身体に蓄積されずに代謝されて、尿として排出されます。実は、こうした食品やサプリメントなどの成分は膀胱にとって刺激物になる場合があります。一刻も早く出そうと膀胱が過敏になり、頻尿になるのです」(上田さん)

 例えば、緑茶。ポリフェノールが体にいいからと飲みすぎると、緑茶の中のカフェインが刺激物になりトイレが近くなる。トマトやバナナなどのカリウム、かんきつ類やポン酢などの酸味成分もそうだ。チーズやチョコレート、ナッツ類、発酵食品なども、膀胱を刺激する。

「バランスの良い食事を心がけることです。体にいいからと同じ食品をずっと食べ続けるのは、尿トラブルにつながる可能性もあり、勧められません」(同)

(本誌・山内リカ)

週刊朝日 2018年1月5-12日合併号より抜粋