菅直人夫妻(撮影/上田耕司)
菅直人夫妻(撮影/上田耕司)
菅直人氏と上床敬子ママ(撮影/上田耕司)
菅直人氏と上床敬子ママ(撮影/上田耕司)

「今からでもスキャンダルになりそうだな。(写真を)横流しされちゃうんじゃないか」

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 とある店でママの肩に手をまわしながら、こう冗談を飛ばしたのは立憲民主党の菅直人衆議院議員だ。

 菅氏が「お敬ちゃん」と呼ぶこの女性は上床敬子さん。彼女が経営するレストラン喫茶「上床」のさよならパーティーが12月18日、店内で開かれた。

 店は東京・三鷹にあり、「日本一ヘタな歌手」という風変わりなキャッチフレーズを持つ敬子ママが、今から34年前の1983年に開店した。三鷹で別の店を経営していたこともあり、実質40周年という。

 敬子ママは今年いっぱいで店の経営から身を引き、別の経営者に変わる。

 店は駅前のビルの2階にあり、一つ上の階には菅直人事務所がある。

 そのため、この日は菅氏と妻の伸子さんも顔を見せた。菅氏はなごり惜しそうに話した。

「お敬ちゃんが『このビルはツキがあるからおいで。店の上の部屋が空いているから』と言うから、ここへ引っ越して来ました。階段を歩けば必ず店の前を通るから、しょっちゅう立ち寄りました」

 店の開店(85年)の2年後、菅氏の事務所はここへ引っ越してきた。菅氏の妻・伸子さんはこう話す。

「主人はこれまで16回選挙に出馬しましたが、このビルに引っ越して来てからは1度回も負けていません」

 敬子ママの言うように“ツキ”はあったようだ。

 前々回の衆議院選挙(2014年)では小選挙区で敗れ、比例ブロックで最後の475目で当選。今年の衆議院選挙では、小選挙区でわずか千票ほどの僅差で当選した。敬子ママはこう振り返った。

「菅さんの選挙はいつもやきもきする。そこがいいのよ。菅さんが落ち込んでいようが、国会でどんなにバッシングを受けようが、気にしない。菅さんが店の前を通り過ぎるのを見かけたら、『菅さんカッコイイよー』と階段のところで怒鳴ってました」

 菅氏も「お敬ちゃんと話していると何となく元気が出るんですよ。元気づけるのがうまいんですよ」。

「日本一ヘタな歌手」は、弁理士の資格を持っている菅氏が特許庁に商標登録したという。

「この店には子どもたちと家族でご飯を食べにも来てました。主人はカラオケはヘタですよ」(妻・伸子さん)

 伸子さんは今の政治状況についても辛口で語った。

「日本では2大政党制は無理なのかもしれませんね。政治家もお役人も、安倍(晋三)さんには逆らえず、忖度する人ばかり。自民党に行きたがる人ばかりだもの」

 民進党の蓮舫・元代表も立憲民主党への入党を検討していると報じられているが、伸子さんは好意的でこういった。

「蓮舫さんの国籍の問題はもう決着している。安保法制と原発問題で考えが同じなら、一緒になればいいと思います」

 菅氏も隣で頷く。

 心のよりどころの敬子ママが去るのは寂しいらしく、菅氏は時々、目頭を押さえていた。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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