この活動記録表をもとに日単位、週単位、月単位、年単位で気分変動の傾向を把握して薬の処方計画を立て、必要に応じて見直していく。また、活動記録表は患者自身が気分変動のきっかけとなるサインに気づき、生活習慣を是正するうえでもきわめて有用だ。

「社会生活に大きな影響をおよぼす躁状態は、うつ状態より短い時間で進みます。患者さんは、うつ状態が改善されると予定を入れ、予定をこなすとその刺激で気分がさらに高まり、また新しい予定を入れるという繰り返しで躁状態が強まることがあります。これを避けるためには、活動記録表で普段より起床時間が早くなっている、日中の活動時間が増えているといった躁症状の始めのサインに早く気づくことが大切です」(秋山医師)

 薬がうまく効かない場合、脳の神経に電気刺激を与える通電療法も有効な選択肢となりうる。通電療法は、かつて「電気けいれん療法」と呼ばれ、安全性が懸念されたこともあるが、精神科のある総合病院で適切におこなえば安全に効果が期待できるという。

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