今の野球界はFA制度があり、さらに大谷翔平のように5年でポスティングシステムを容認する球団も出てくる時代となった。制度自体を否定することはできない。さらに言えば、メジャーリーグでは、もっと移籍が活発である。すべては変化の時代であり、現場の監督はもちろん、フロントも柔軟に戦力補強をする時代になったと感じるよね。

 30球団あるメジャーリーグと違い、日本は12球団だと、なかなか他球団との戦力交換に二の足を踏んでしまう事情もわかる。だが、大リーグでは、マーリンズのように、今季59本塁打の主砲スタントンを放出するなど、ドラスティックに球団変革を断行する。

 来年は、大谷翔平がメジャーの舞台で二刀流を成功させたら、おそらく5年後、10年後のメジャーは変革しているだろう。最初は「中4日」という概念に一石を投じることになるだろう。あとは日本よりも試合数が多く、移動距離も長い米国で、二刀流起用をどう捻出していくか。エンゼルスの名将であるマイク・ソーシア監督の起用の柔軟性も見たい。

 日本では早実から日本ハムに入る清宮幸太郎に注目だよね。本当に才能のある選手は、高卒だろうがプロの壁を楽々と超えていく。何か枠に当てはめるようなことを考えると、成長スピードを阻害することにもなる。栗山英樹監督の操縦法に注目していきたい。

 来年も新しい事象がめまぐるしく起きるだろうが、私も変化についていけるようにしたいと思う。

週刊朝日 2017年12月29日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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