理事会を終え、会見する日本相撲協会の高野利雄・危機管理委員長(右)と八角理事長 (c)朝日新聞社
理事会を終え、会見する日本相撲協会の高野利雄・危機管理委員長(右)と八角理事長 (c)朝日新聞社

 日本相撲協会は12月20日に臨時理事会を開き、横綱日馬富士による貴ノ岩への暴行問題について、関係者の処分を発表した。中でも注目されたのは、暴行現場に居合わせた白鵬に1月の給与の全額不支給と2月の給与の50%減という、重い処分が科されたことだ。

 なぜ、白鵬は処分されたのか。本誌が入手した相撲協会の危機管理委員会による調査結果報告書により、事件の全容が明らかになってきた。

 まず、事件があった10月25日夜の、一次会でのやり取りだ。3時間ほど続いた食事会が終盤にさしかかったころ、白鵬が貴ノ岩に対し、「大分えらそうだったそうじゃないか。これからは俺たちの時代だと言ったそうじゃないか」と、とがめた。9月場所中に東京・錦糸町のモンゴルバーで貴ノ岩が白鵬の友人に対して発した言葉について、白鵬が“説教”を始めたわけだ。貴ノ岩は、「そんなことは言ってません」などと答えていた。

 報告書はここで、意外な展開があったと記す。日馬富士が二人の話に割って入り、白鵬に対して「言っていないと言っているじゃないですか」と、貴ノ岩をかばうように反論。貴ノ岩に対しては「お前、そんなこと言っていないんだろ。俺の目を見て言ってみろ」などと問いただした。貴ノ岩が「言っていない」と答えると、日馬富士は白鵬に対し、「言っていないということなので、もういいでしょう」と説得してその場を収めたが、両横綱の間で険悪な雰囲気が漂ったという。一次会では、日馬富士は白鵬の攻撃から貴ノ岩を守っていたのである。

 ところが、二次会のラウンジで異変が起きた。開始から程なくして白鵬が「お前たちがこうして相撲を取って生活していけるのも、ここにいる(鳥取城北高校の)先生方のお蔭だ。その恩を忘れずに、社会人としてきちんと生活をしていきなさい」などと説教を再開。話が一段落した時にスマートフォンをいじった貴ノ岩を日馬富士が注意した際、貴ノ岩がにらみ返すような表情をしたことで日馬富士が激高したという経緯は、これまで報じられた通りだ。この際、一次会ではかばっていたという経緯も日馬富士の怒りに影響したようで、「なぜ、こんな態度をとるんだ、お前のことをさっきは守ってやったじゃないか。お前は横綱をなめているのか」、「こら、お前は何様なんだ」などと言いながら、素手で貴ノ岩の頭や顔面を断続的に叩いたという。

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相撲協会の聴取に対する貴ノ岩の主張は…