過去4年分の掲載企業を調べると、約100社が名を連ねていたが、その実力はいかほどのものなのか。『日本会議の研究』(扶桑社新書)の著者の菅野完氏がこう語る。

「同志会の会員の多くは普通の中小企業の社長などで、財界の大物のようなメンバーはいない。森友学園の籠池泰典前理事長のような存在がイメージとしては近いでしょう。だが、彼らが全国規模にネットワークを張り巡らせ、従業員ぐるみで地元の保守政治家の選挙を手伝ったり、憲法改正の署名活動を行ったりする。いわば、右側の市民運動です。そうした草の根のネットワークの影響力を軽視することはできません」

 日本会議と超党派の日本会議国会議員懇談会は11月末、設立20周年記念大会を開き、憲法改正実現に向けた国民運動の推進に取り組む決意を明記した宣言文を採択した。

 安倍首相も「歴史的使命を果たしていく」とメッセージを寄せ、同懇談会の新会長に就任した首相側近の古屋圭司・自民党衆院議員が檄を飛ばし、全国289の小選挙区に改憲推進組織をつくり、草の根運動を展開するという。

 日本会議の田久保忠衛会長は本誌にこう語った。

北朝鮮情勢が緊迫する中、トランプ大統領は安倍首相に米国製兵器の大量購入を強く要請しているが、日本の政治のスピードは遅すぎると感じています。まず、自衛隊の存在を一刻も早く憲法に明記する必要がある。経済人同志会には熱心な方が多く、街頭で自主的に憲法改正の署名運動をするなど、活動していただいています。安倍政権が改憲の発議ができても、その後の国民投票で否決されたら元も子もない。そうならないように、国民の意識を変えていく運動を続けていきます」

 日本会議と関連が深く、安倍首相の後見人で財界ブレーンとして知られる葛西敬之・JR東海名誉会長が代表発起人の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が集める憲法改正への賛同の署名は、目標の1千万人のうち9割程度まで集まったという。日本会議の草の根の力は、決して小さくないことがわかる。(本誌・小泉耕平)

週刊朝日 2017年12月29日号