――『スゴー家の人々』では、菅生さんの生い立ちが赤裸々につづられています。菅生さんが小学5年生、弟さんが小学2年生の時、父親が不倫離婚。母親は弟さんをおぶりながら「たい焼き」を焼く仕事をして、稼いでいたそうですが。

「たい焼き」は食うため。どん底を味わいましたが、いつも母の温かさがあった。机とか参考書とかランドセルとか、買えるもんも買えずに、府営住宅で暮らしてました。

――著書によれば、家庭裁判所でのドロ沼の親権争いの末、母親には定職がなく、父親に親権が与えられたそうですね。父親に引き取られて3カ月後、「恋しいお袋」のもとへ、小2の弟の手を引いて家出したシーンが胸にジーンときました。

(感極まって涙ぐみながら)本には書けなかったが、家出したとき、不安で弟と泣きました。お母ちゃんと住みたいけど、実現するのかなと思っていた。

――スゴー家の歴史はほんとにすごい。菅田さんは著書のことをどう言ってますか。

大将には著書を原稿段階で渡しました。舞台で忙しい最中だったんですが、深夜午前1時過ぎ、電話がかかってきてね。「お父さん、2日間かかって、今読み終わった。すごくいいと思う。家族のいろんなことを知れたし、お父さんがんばったんだね。ありがとう」と言ってくれた。妻が隣にいて、もう涙ボロボロでした。

――菅田さんと一緒に暮らしているんですか。

 メディアにけっこう追われたので、1年くらい前から一緒には住んでません。彼は一人暮らしです。台本も覚えなきゃいけないから忙しいようですね。昨年、ダウンタウンさんの番組「ダウンタウンなう」(フジテレビ)に出演したときには、大将は「テレビで泣いたー」と言ってた。ダウンタウンさんの熱烈なファン。16歳で「仮面ライダーW」で主演していたときには心の支えになっていたから。長男はお笑いが大好きなんです。

――スゴー家の仲がいい秘訣は?

 うちは家族の「LINE」が充実しているんです。みんなつながっていて、常に誰かがメッセージを入れます。「感謝やね!」という言葉が多いですね。次男からも昨夜、本を読んだ感想がLINEで「両親の生い立ちを詳細まで知れて良かった。素晴らしい両親を選んで生まれて来たと思います。産んでくれてありがとう!」とメッセージがありました。

――今思うことは?

『スゴー家の人々』みたいに、父親や母親が家族のヒストリーを記録に残すブームができてもいいのでないか。語り合うことがキズナになると思います。

(聞き手/本誌・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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