「私は仕事が大好きな仕事人間でもあるので(笑)、ここ2年は、意識的に家族や友人と過ごす時間を大切にしています。あとは、自分のベッドで眠る時間、自分の庭で過ごす時間とか……。そういう時間があってこそ、仕事場に100%の自分で臨むことができると思うのです」

 今回は、映画「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」での来日。これまでパワフルで強い女性を演じることが多かった彼女が、慈愛という“本能”を武器に、美しくてたおやかで、母性溢れる女性を演じた。

「芝居をしながら、一番幸福を感じるのは、他人と親密な気持ちになれる瞬間ですね。最初に会った時点では、お互いのことをよく知らない、でも仕事の上で、気持ちを通わせることができる。社会の中で生きていると、つい人は、心に壁を作ってしまう。でも、芝居をするときは、その壁を取っ払わないといけない。今回は、動物たちとのシーンも、ドキュメンタリーのように、動物たちのやりたいことを優先させながら撮影できたので、共演した俳優だけでなく、動物とも心を通わせることができたのが、楽しかったです」

 生きていくことは、経験を積み、聡明さを身につけることだと彼女は言う。毎日、目の前で起こることを見逃さないために「瞬間瞬間をしっかり生きる」がモットーなのだと。(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2017年12月22日号