専業主婦の「年金ただ乗り」を問題視しているのだ。

 幅広い顧客を持つ銀行は中高年以上をどうみているか。りそな銀行コンシューマービジネス部の大賀智之グループリーダーは、来店客にはシニア層が多いこともあり、彼らにつみたてNISAの利用手段の一つとして「少額贈与」があることを伝えるという。

「シニア世代が国内金融資産のうちの預金の多くを握っている現状は、将来強まりこそすれ弱まることはありません。その意味で、シニア層のお客さまがお金の蛇口をひねらないと『貯蓄から資産形成へ』も進みません。現役世代である子供や孫は、住宅ローンの支払いや教育費で精いっぱいで資産形成に手が回らない家庭も多いんです。そこを親や祖父母世代が助けてあげれば、お金が回っていきます」

 子供や孫のためなら、年間40万円の投資枠を代わりに出してあげられる人も多いだろう。

 冒頭のセゾン投信の中野社長もシニア層の動きに期待する。

「おじいちゃん・おばあちゃんも、ぜひつみたてNISAを始めてほしい。なかなか踏み切れない人には、『月1万円なら怖くないでしょ』って口説いてみたい」

 自分のためにせよ、次世代のためにせよ、中高年以上にとってもさまざまな活用法がありそうだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日 2017年12月15日号

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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