ジョー・ウォルシュ、ドン・ヘンリー、グレンによる「駆け足の人生」は、イーグルスの変身に貢献したジョーの本領を発揮したハード・ロック・ナンバーだ。ドラッグまみれで享楽に浸り、派手な生活を送ったカップルの堕落とその結末が描かれている。

 バラード・ナンバーの「時は流れて」は、恋に破れて孤独を抱える主人公の追憶を描いた曲。ドラマチックなストリングスの調べは人間模様を描き出すようで、大きな余韻を残す。ヘヴィーなロック・ナンバーの「暗黙の日々」は愛の犠牲者をテーマにした歌だ。

 ジョー・ウォルシュがソロ活動時のドラマーのジョー・ヴァイタルと作曲した「お前を夢みて」は、無邪気で奔放な個性を持ち味とするジョー・ウォルシュがシリアスな側面を見せている。一方、ランディ・マイズナー作曲の「素晴らしい愛をもう一度」からはランディ独特のカントリー・テイストがうかがえる。

 アルバムを締めくくる「ラスト・リゾート」はドン・ヘンリーとグレンの共作だが、環境破壊を背景に“楽園”の消失を描いた歌詞はドンの意思によるものだった。「ホテル・カリフォルニア」と対をなす曲で、痛烈なメッセージ、ドンの文学的な詞作が話題となった。

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グレン・フライが語るアルバムで伝えたかったこととは