──以前のような美しい映画が減ったと思いますか?
美しさが失われたというよりは、逆にデジタルになり何もかもが完璧になりすぎた、と言えるかしら。テクニカラーの映像のほうが個人的には好きだわ。温かくかつ色彩に深みがあると思うの。
──以前はイタリア映画にも多く出演されましたが、懐かしく思いますか?
そうね。昔のように伊仏の共作があまりないのは残念ね。ビスコンティをはじめイタリアには偉大な監督がいたけれど、若手が出てきたらぜひ仕事をしてみたいわ。25年ほど前は伊仏共作映画が多かったから。
──近年ハリウッドで男女不平等なギャラについて問題になっていますが、どう思われますか?
映画界が特別なわけではないです。社会を反映しているだけだと思う。毎日のように、いろんなところでそれがニュースになっている。社会はまだまだ不平等だと思うわ。
──映画界が長いと、やはり親友は同じ世界、映画界の人たちですか?
そうとは限らないわ。映画界には友達が多くいるけれど大親友というわけではない。俳優よりはテクニシャンと仲がいい。俳優は仕事であちこち飛び回っているので、基本的にあまり親しくなれない。友達というのは時間をかけて関係を作るものだし、親友は俳優ではないわね。
(高野裕子)
※週刊朝日 2017年12月15日号