カトリーヌ・ドヌーブ「親友は俳優ではないわね」

（本当の自分は）家に置いてくることはないわよ（笑）。カトリーヌ・ドヌーブは私の女優人生だから。家を出るとき別の自分を置いてくるようなことはしないわ。

──役作りについて、監督からの説明は欲しくないですか？　自分なりに脚本をもとに役を作り上げたいという俳優さんもいます。

　私は監督から指示してもらいたい。監督の考える作品の方向性が見えていて、役柄像がはっきり見えている場合、それを指示してもらいたい。自分なりの役柄像、理解、イメージがあっても、監督の指示を優先させたいと思う。監督の映画なわけだし、リハーサルのときにそれについて話し合うことが多いわ。

──多くの映画に出演されましたが、現代の映画づくりの方法は変わりましたか？

　技術が大きく変化した。それが俳優の演技に影響するのは避けられないことだと思う。カメラはずっと小さくなり、撮影が簡単になった。カメラの距離がずっと近くなった。昔は俳優とカメラやクルーとの間に距離があったのに、現在ではカメラが15センチのところにあるのもざら。だからカメラを意識せずにいられない。逆にカメラが小さく安価になり、多くの人が映画をつくる機会を持てるようになったのは良いことね。