車掌「カメを落とされたお客様は…」新幹線で起きた珍事の犯人
連載「大センセイの大魂嘆!」
その日、大センセイは二列シートの窓側に座って、東京から京都に向かっておられた。隣、つまり通路側の席には男が座り、股の間に白いズックの手提げ鞄を置いていた。布でカバーがしてあったが、布の横から何か棒のようなものがニョキッと突き出ている。気になって仕方がない。
男が席を立った隙に、その棒を観察してみると、それはなんとカメの頭であった。洋風のカメが首を長く伸ばして、手提げ鞄の中から顔を出しているのだ。
鞄は一澤帆布製だったから、おそらく男は京都へ向かうに違いない(思い込みだな)。布の隙間から鞄の内部を覗いてみると、頭を出しているカメ以外にも何匹かのカメがいる。
つまり男は、カメの運び屋だったのだ。もしかすると、絶滅危惧種のカメの密輸業者かもしれない。そうでなければ、こんなおかしな運び方をするだろうか。
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