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北原みのり「熊本で今さら『アグネス論争』?」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

時間が止まってるのか…(※写真はイメージ)

時間が止まってるのか…(※写真はイメージ)

 さて、今回の市議の“子連れ出勤”は、アグネス論要素が、かなり入っている。子育て中の女にメディアも職場も建前としての寛容すらも見せなくなった残念な違いは大きいが、熊本市議会の緒方夕佳議員はアグネスだ。

 緒方議員は「お母さんの腕の中は『第2の子宮』」等とインタビューで答えているように、母子分離したくない女性も働ける社会を求めている。もちろん様々な価値観の母親が社会参画できる社会を、という緒方議員の考えには大賛成だ。 その上で、待機児童は基本的には大都市に偏った問題なので、一時保育が可能だったと思われる熊本市議の話を「働く女性の代表」としては考えにくい現実もある。ここで何が問題なのかを直視しなければ、アグネス論争の二の舞いになる。「母親じゃなければ」という声に、「父親はどこだ?」「保育園をもっと増やせ」という議論をしても深められず、曖昧な「多様性を」という声は、時に、今、本当に困っている人の声を遮ることもあるから。

 今回のことが、女性に優しい社会の実現に向けての一歩になってほしい。誰もが安心して保育園に入れ、また託児所併設の企業や役所は増えたほうがいい。自民党は、「保育園無料化」を公約したが、保育園を必要とする人は無料ではなく安全で豊かな保育園に入れることを求めている。その切実な声にすら耳を貸せない政治を変えるためにも。

週刊朝日 2017年12月15日号


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北原みのり

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