■ケース1


 埼玉県行田市の築42年の木造2階建て住宅は、2階部分を「減築」し、6DKの間取りが3LDKに減った。かつて竜巻の被害に見舞われた60代夫婦は、「古い家では、いずれ近隣にも迷惑をかけるかもしれない」と不安視し、リノベーションを決意。2階に上がるのもしんどくなったことから、バリアフリーの平屋建てへの“変身”を希望した。階段のスペースは大容量の収納棚へと変貌(へんぼう)を遂げ、2階がなくなったことで、掃除の手間が省け、防犯の面でも心配が減った。また、風邪を引くからと孫たちに敬遠された風呂なども断熱施工で改善し、孫たちが「暖かい空間」を喜ぶようになったほか、滑りにくい床材にしたことで夫婦の転倒防止になることはもちろん、ペットの老犬も、関節への負担が軽減したという。

■ケース2
 福島県に住んでいた60代夫婦は、東京都品川区の実家に滞在中に東日本大震災が発生し、自宅が避難区域内だったこともあり、実家で暮らすようになった。ところが築45年の和室中心の間取りは、足腰が悪い妻には低い椅子に座っての生活が苦痛となり、風呂や洗面所など「水回り」が離れていて使い勝手が悪かったことなどを理由に改修に踏み切った。和室はすべて洋室にし、洗面台や浴室をまとめて脱衣所を設け、トイレも広くしたことで、効率的な「水回り」の動線ができた。寝室のある2階にトイレと洗面台を設置したことで、就寝中に1階に下りることもなくなった。また、収納スペースが増え、面積の小さい都心の狭小住宅のデメリットを解消した。

■ケース3
 東京都大田区のマンションに住む70代夫婦は、子ども2人が独立し、細かく仕切られた4LDKの間取りを2LDKに。LDに隣接した和室を取り込んだ広々としたリビング、さらにオープンキッチンにしたことでゲストをゆっくりともてなす時間を楽しんでいる。

(本誌・秦正理、前田伸也)

週刊朝日 2017年12月15日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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