1988年から、劇団大人計画の旗揚げ公演など、数々の小劇場公演に出演。33歳までは、生活のためのアルバイトも続けていた。
「今の嫁さんに、食わせてもらっていた時期もあります。お金はなかったですけど、当時は、芝居とかいろんな表現が楽しくて仕方がなかった。あ、もちろん今も楽しいですよ(笑)。でも、寝食を忘れられるぐらい、芝居に没頭するというのは、若かったからできたことだと思います」
年齢を重ねてからの楽しみを聞くと、「最近は、夫婦2人で海外旅行に出かけたりするんです。ちょっとお金を貯めて……」と、なぜか少し申し訳なさそうに言う。
「この間はニューヨークに行ったんですが、『20代の頃に来たかったな』と思う半面、30年前に夢中で聴いていたジョン・レノンの足跡を辿ることで、自分の音楽のヒストリーが、永い時を経て目の前でつながっていく感じがあって、嬉しかったです」
日本でも、若い頃だったら絶対行かなかった、渋めの観光スポットをゆっくり訪ねたりしている。
「春先には、北海道の知床で2泊しました。遊覧船から見た景色もきれいだったなぁ」
(取材・文/菊地陽子)
※週刊朝日 2017年12月8日号