これまで多くの受験生を見てきた西村さんが、直前期の家庭で大切なことを三つあげてくれた。

【1】完璧を目指さない。それを目指す母親は、過去問演習を解かせ、○×をつけ、間違った問題をすべて正解させようとする。子どもは無駄な時間を費やすことになる。合格最低点プラス10点ぐらいの復習で十分。

【2】今のままで過ごしたら合格するかもね、という雰囲気が家庭の中に必要。熱心な母親は不安要素を探して、「この問題ができないのは、これができないからだろう」と分析することに興味が向き、受験が目の前なのに、やるべき内容が増え、それを子どもにすべて要求する。それよりも子どもの意欲や健康状態に目を向けるべき。

【3】体を動かす。親子で相互依存に陥り、どこかギスギスしている家庭は、体の可動範囲が狭く、呼吸が浅い。軽い運動もいいが、特に効果があるのは、いっしょに変顔をつくること。

「失敗したら、うちの子はダメになるのでは、という恐怖感が強すぎると思う。前向きな努力を積み重ねていると、いつか必ず『がんばってきてよかった』と思える時が来るという気持ちが親にないといけない」(同)

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