だが、しかし、さらに、もっと腹立たしいのは横須賀線武蔵小杉駅の駐輪場だ。ここは一発で200円取る。一秒入れても200円。泣いても笑っても200円。そして、絶対数が少ない。

 一度、取材の待ち合わせギリギリの時刻に自転車を入れようとしたら、平然と「満車」の立て看板が出ていた。管理人に、

「どこが空いてんの?」

 と聞くと、

「バスロータリーの地下のが広いからねー」

 とのんきに言う。国産豆腐だ。国産豆腐に止めてから歩いて戻ってきたら、15分以上かかってしまう。

「なんとかしてよ」

「そう言われてもねぇー」

 一部の人の利便性しか考えない街は、確実に滅ぶ。大センセイはそう思うぞ。根拠はないけどさ。

週刊朝日  2017年12月8日号

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山田清機

山田清機

山田清機(やまだ・せいき)/ノンフィクション作家。1963年生まれ。早稲田大学卒業。鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。著書に『東京タクシードライバー』(第13回新潮ドキュメント賞候補)、『東京湾岸畸人伝』。SNSでは「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれている

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