広川雅之さん(ひろかわ・まさゆき)/外科専門医。お茶の水血管外科クリニック院長。下肢静脈瘤治療の第一人者。近著に『下肢静脈瘤は自分で治せる』(マキノ出版)http://kekkangeka.com/
広川雅之さん(ひろかわ・まさゆき)/外科専門医。お茶の水血管外科クリニック院長。下肢静脈瘤治療の第一人者。近著に『下肢静脈瘤は自分で治せる』(マキノ出版)http://kekkangeka.com/
毛細血管には小さな穴が開いている。そこから細胞の間に出てくる水分が、組織間液だ。この組織間液が多くなりすぎたときに「むくみ」が起きる
毛細血管には小さな穴が開いている。そこから細胞の間に出てくる水分が、組織間液だ。この組織間液が多くなりすぎたときに「むくみ」が起きる
「むくみ」を防ぐには、飲み会の席で塩分の多い料理をとりすぎないよう、心がけること。「刺し身(醤油を少なめに)や野菜サラダ(ドレッシングを控えめに)を多めに!」(広川さん)
「むくみ」を防ぐには、飲み会の席で塩分の多い料理をとりすぎないよう、心がけること。「刺し身(醤油を少なめに)や野菜サラダ(ドレッシングを控えめに)を多めに!」(広川さん)

 朝起きたときに顔がボワン。ギャー、このむくんだ顔のまま会社に行くのは嫌かも。近所にゴミ捨てに出ることすら、憚られるかも。ああ「むくみ」、何とする?

【図】むくみが起きる原因

「そもそも『むくみ』というのは、身体の皮下組織に過剰な水分がたまった状態を言います。顔なら、顔の表面に水分がたまっている状態。足なら足の表面に水分がたまっているのです」と、外科専門医の広川雅之さん。皮膚の下には多くの毛細血管があり、細胞がある。

「実は毛細血管には小さな穴がいっぱい開いているんです。そしてそこから細胞の間に出てくる水分が、組織間液です。組織間液は細胞に酸素を届けるとともに細胞間の老廃物を回収し、また毛細血管に戻ります。このように皮下組織では常に、毛細血管から水分が出て、戻ってというのを繰り返しているんですね。そのバランスがくずれたときに『むくみ』が起きます」

 毛細血管から漏れ出てくる水分量が多くなるか、あるいは毛細血管に戻る水分量が少なくなったときに「むくみ」は起きるのだ。

「原因はさまざまですが、“冷え”はむくみの大きな要因の一つです。夏はエアコンの冷気による冷え。今の季節は寒い空気による冷え。冷えから毛細血管、あるいは静脈の循環が悪くなり、むくんでしまうのです」

 ではむくみ防止、むくみ改善のためにはどんなことをすればいいのだろうか。

「手足が冷えないよう、保温に気をつかうことはもちろん大事です。が、もっと大切なことは毎日少しずつでも運動をすることです。加齢とともに疲れやすくなってくると、ついつい身体を動かすのが億劫になってきます。そうすると肥満に拍車がかかります。そして身体が重くなってくるとますます身体を動かさなくなり、体内の循環が悪くなります。この負の流れに入ってしまうと、むくみと縁が切れなくなってしまいますよ」

 広川さんのおすすめは、寝て行う二つの体操だ。

「一番のおすすめは『ゴキブリ体操』です。仰向けになり、足は肩幅に開いてください。両手は身体の横に置きます。そして両手・両足を天井に向けて上げます。手足はできるだけ垂直になるようにしてください」

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