「日馬富士は酒が強い。これまで場所ごとに50回くらい食事をしましたが、まずはワイン、シャンパンが好きで1本飲んで、それから芋焼酎。優勝した後なんか、何人かはいましたが焼酎7升飲みました。飲んでも、崩れない男なんですよ。陽気になり、周りを盛り上げる。松山千春や長渕剛のカラオケをよく歌います。10年間、酒癖が悪いところは見たことがありません」

 事件後の11月9日も、木原住職は日馬富士と九州の博多で食事した。

「先場所優勝して、今9回優勝していますので、九州場所で10回優勝をめざそう、と話しました。横綱になれたのも九州場所からだったので、縁起がいいんですよ。もし、なにかあれば私と日馬富士は親子みたいなものですし、相談があるはずです。何もなかったということは、深く考えていなかったのでしょう」

 前出の伊勢ヶ浜部屋の関係者もこう証言する。

「日馬富士と貴ノ岩が事件の翌日、握手するのを見た。報道されるまでは、事件のことはほとんど忘れてしまっていた」

 前出の木原住職が続ける。

「だから、信じられないんです。日馬富士は関取の中でも3番目か4番目に体重が軽いから、常に『全身全霊でやらないと負けるんだ』とがんばっていました。

 貴乃花親方が相撲協会に報告する前に、警察に被害届けを出したというのはどうみても順序が逆だと思う。ここまで来たら、何か言いたいのか、みんなの前に出て語ればいいんですよ。それをしないで沈黙するのはおかしいですよ」

 最近は大相撲人気がすさまじい。

「チケットを買おうと並んでも、あっという間に売り切れて手に入らない。桝席などのよい席は親方衆やお茶屋さんに頼んでも手に入らないくらいです」(相撲ファン)

 展開次第ではそうした大相撲バブルがはじけかねない暴行事件。沈黙を続け、相撲協会の聴取も拒否している貴乃花親方は、何をどう考えているのか?

 若い親方衆から支持され、改革を目指しているとされるが、事件をうやむやにしないためにも、真相を自身の口で語ってほしい。(本誌・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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