【文豪の湯宿】“引っ越し魔”谷崎潤一郎を癒やした「贅」の空間 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】“引っ越し魔”谷崎潤一郎を癒やした「贅」の空間

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週刊朝日#旅行
水琴窟の音が響く茶室付きの大浴場「偲豊庵」

水琴窟の音が響く茶室付きの大浴場「偲豊庵」

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる新連載「文豪の湯宿」。今回は「谷崎潤一郎」の「陶泉 御所坊」(兵庫県・有馬温泉)だ。

【写真】谷崎潤一郎が愛した有馬の秘湯とは

*  *  *
 生涯で40回を超える転居を繰り返した「引っ越し魔」の谷崎潤一郎。関東大震災を機に京都に移住し、翌年からは阪急電鉄沿線の兵庫県本山町に本拠を構えた。神有電鉄(現・神戸電鉄)で気軽に有馬温泉を訪れることができる立地だった。

 実際、谷崎は何度も有馬温泉に逗留し、「春琴抄」「細雪」などの小説にも有馬温泉を描いた。妻や愛人より猫を溺愛する男の物語「猫と庄造と二人のおんな」では、この御所坊を登場させている。人目を忍ぶ仲になった愛人と有馬に行き、半日ほど遊んで暮らした思い出がある御所坊にまた行こうと話し合うくだりだ。

〈「そしたら又御所の坊の二階にしようか。」
「夏より今の方がええで。紅葉見て、温泉に這入って、ゆっくり晩のご飯食べて、──」〉

 御所坊の奥の区画にある「聴水御坊」には谷崎が出版社に原稿料の前払いを要請する直筆書簡や「細雪」などの貴重な限定本や直筆の句が展示される部屋がある。昭和初期に造られた建物に設えた客室の雰囲気は、時代を超えて谷崎の絢爛な作品世界に入り込んだ気持ちにさせる。

■陶泉 御所坊(とうせん ごしょぼう)神戸市北区有馬町858

週刊朝日  2017年12月1日号


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