例えば議会出席1日につき日当5万円を支払ったとすると、年間50日の議会で収入は250万円。都道府県議の年収の全国平均約1千万円という現在の待遇と比べると、かなり低下する。

「高学歴で専門知識を持った議員は減るかもしれませんが、私たちは普通に暮らす人たちが議員になるべきと考えます。そういった人たちが日常見聞きする問題について専門家やその当事者を議会に呼び、オープンな議論を住民に見せて、住民が賛否を判断する。議員はその仲介役でいいのです」(同)

 こうした考えにも表れているように、「ゼロの会」が思い描く地方政治の究極のかたちは、住民による直接民主制だ。行政の情報を徹底的に公開した上で、個々のテーマについて住民投票などで政策を決めていく。インターネットを中心とした技術がそうしたシステムを可能にするというのだが、本当に実現できるのか。

「ネット投票というと『替え玉や二重投票などの不正をどう防ぐのか』とよく言われますが、技術は日々進歩していて、今はネット上のアンケートなども精度が高くなってきた。現在の技術ではまだ無理かもしれませんが、今後、個人認証などの仕組みはより発達していく。それに伴い有権者の理解が進み、政治に取り入れられれば、直接民主制に近いシステムの構築は十分可能だと考えます」(同)

「ゼロの会」の今後の活動は未定だというが、都市部を中心に趣旨に賛同する候補者が出てくれば支援していくという。

 地方議員がゼロになる日は本当に来るのか。襟を正して本来の役割を果たそうとしない議員は、今も存在価値はない。ひょっとすると、本物の議員はすでに“ゼロ”になっているのかもしれない。(本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2017年12月1日号