桐谷:映画に使ったシーンは一瞬だったんですけど、実際に観客の前で4分ぐらいの漫才をフルでやったんですよ。観客からあったかい笑いをいただいて、監督も「すごくよかった」と言ってくださったんです。クランクインの前から代々木公園で相方と二人で漫才したり、カラオケ屋でやったり、ヨシモト∞ホールで見学したりしたんですよ。

林:菅田将暉さんもすごくいい感じを出してましたけど、菅田さんは東京の人ですよね。

桐谷:大阪です。地元、近いんですよ。だからあんな感じでできました。

林:そうですか。私、ずっと東京の人だと思ってました。この映画、本当に神谷さんがいるみたいで、桐谷さんの30代の代表作になるんじゃないかと思いますよ。本を読んだ324万人の読者が映画を見て、ジャンパー姿の桐谷さんが吉祥寺のハモニカ横丁にあらわれたとき、「神谷先輩だ」って思うんじゃないですか。

桐谷:そうならありがたいですね。(構成/本誌・直木詩帆)

週刊朝日 2017年12月1日号より抜粋