「まだ少ないながらも、議員の仕事が他の就職先と同じように選択肢の一つになってきました。たとえ若い人でも、当選すれば、企業でいえば役員級です」

 議員になれば大きな権限を得られる。一方で、報酬は必ずしも多いとは限らず、自治体によって差がある。

全国市議会議長会が7月に発表した調査では、市議の報酬は平均月額約42万円。高額な市議会で90万円台、低い額だと10万円台とばらついている。

 15年の統一地方選では、議員報酬が高い議会で競争率の高さが目立った。一方で、報酬と政務活動費の合計が月額20万円未満の議会の選挙は、35%が無投票だった。

 議員には落選のリスクが常につきまとう。自営業などで定職を持っていればよいが、働き盛りの若者が会社を辞めてまでチャレンジすることは、勇気のいる決断なのかもしれない。

 長崎県小値賀(おぢか)町議会は15年、若手の立候補を促すため50歳以下の議員報酬を18万円から30万円に引き上げる条例を制定した。

 全国の議会関係者から驚かれたが、制定直後の選挙でも50歳以下の候補者は現れず。若者が立候補するハードルの高さを浮き彫りにしている。

 若くて清新な候補だと、当選しやすいイメージがある。実際はどうなのか。

 大学生向けの議員インターンシッププログラムを運営するNPO法人「ドットジェイピー」理事長で、『“20代”コネなしが市議会議員になる方法』の著書がある佐藤大吾さんは言う。

「若いと目立てますが、それだけでは当選できません。最終的には本人の志と魅力が重要。最初は漠然とした動機で立候補する人もいますが、若い人は1期まじめに務めるうちに議員として大きく成長します。若年層の投票率を上げるためにも、若い議員が増えてほしいと思っています」

 政治の世界にチャレンジする若者が増えれば、日本の将来は少し明るくなるかもしれない。(本誌・直木詩帆)

週刊朝日 2017年12月1日号