「海外では、観客の人たちが、三味線の音色に日本独自の精神性のようなものを感じてくれることがあります。アメリカのライブハウスでは、本来ならスタンディングのところを、前のほうのお客さんが床に座ってしまって、後ろがギュウギュウになったことも(笑)」(良一郎さん)

「三味線は、3弦という制限された中に“美”があるんです」(健一さん)

 三味線を持った少年が主人公の映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」で、吉田兄弟は日本語吹き替え版の主題歌を担当した。アメリカで制作されたストップモーションアニメは、古き日本が舞台。日本を敬愛するスタッフによる映像は、日本再発見の魅力に溢れる。2人は言う。

「三味線の魅力を伝えたい。その一心で頑張ってきた。素晴らしい作品に協力できて、そんな長年の思いが今、実ったような気がしています」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2017年11月24日号