なぜ、現代の若者は横一列に並びたがるのか? 答えは“小心”? (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ、現代の若者は横一列に並びたがるのか? 答えは“小心”?

連載「大センセイの大魂嘆!」

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週刊朝日#山田清機
いったいなぜ、現代の若者は横一列に並びたがるのだろうか(※写真はイメージ)

いったいなぜ、現代の若者は横一列に並びたがるのだろうか(※写真はイメージ)

 先日、愛車アシスト君を駆って多摩川のサイクリングコースを疾走している時のこと。前方に白い体操着を着た大集団が蠢いているのが見えた。近所の高校のマラソン大会らしい。

 接近してみると、サイクリングコースを完全に塞ぐ形で横一列に広がった男子高校生の壁が、前方二キロ近くまで層をなしていた。まったく前に進めない。道端に立っている教師たちは、ちっとも注意しない。

 最後尾の壁の後ろにつけて、ベルを鳴らした。

 ちん、ちん、ちん、ちん!

 壁の中のひとりが言った。

「ちん、だってよ」

 全員が爆笑した。大センセイの中で何かがキレた。

「おい、いま、ちんって言ったの誰だ?」

 壁が沈黙した。知らんぷりを決め込んで走り去ろうとする。アシストモーターが唸った。

「待て、ちゃんと謝れよ」

 教師がすっ飛んできた。壁の中のひとりが立ち止まると、俯き加減で謝った。その間に、残りの壁は全員走って逃げてしまった。

 いったいなぜ、現代の若者は横一列に並びたがるのだろうか。最近、横一列の光景にいたるところで出くわす気がする。

「横一列になる気持ち、よくわかりますよ。一歩前に出ても目立つし、一歩遅れても目立つ。それを避けるには、横一列に並ぶしかないんですよ」

 若い友人がこう解説してくれた。つまりあの高校生たちは、傲慢さゆえに道を塞いでいたのではなく、小心さゆえに横一列に並んでいたというわけか。ちん!

週刊朝日 2017年11月17日号


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山田清機

山田清機(やまだ・せいき)/ノンフィクション作家。1963年生まれ。早稲田大学卒業。鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。著書に『東京タクシードライバー』(第13回新潮ドキュメント賞候補)、『東京湾岸畸人伝』。SNSでは「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれている

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