防衛省が2018年度予算編成で概算要求した防衛費は、過去最大の5兆2551億円に上る。防衛費を押し上げるのが、米政府から兵器を直接、購入する有償軍事援助(FMS)だ。

 防衛省は18年度予算で弾道ミサイルを発射し続ける北朝鮮の脅威を理由に、弾道ミサイル防衛(BMD)に1791億円を要求。目玉となるのは、「イージス・アショア」の設計費だ。イージス・アショアはイージス艦が搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に配備したもので、日本全土を守るには2基必要だという。ロッキード・マーチン社製で2基で1600億円と巨額になる。軍事ジャーナリストの清谷信一氏がこう指摘する。

「イージス・アショアの導入で、日本海で展開しているイージス艦は任務から解放するべきなのに、防衛省はSM3を搭載したイージス艦を6隻から8隻態勢に増やそうとしているのです。費用対効果のうえでも、合理的な防衛計画を立てているとは思えません」

 グラマン社製のグローバルホークも、購入を決めた14年当初は3機で510億円と見積もられたが、今では630億円まで値上げされている。

 軍事評論家の前田哲男氏はこう指摘する。

「ミサイル防衛は際限がなく、財政が逼迫するだけです」

(本誌・村上新太郎、亀井洋志、直木詩帆)

週刊朝日2017年11月17日号より加筆