「トランプ政権の安全保障政策はマティス国防長官ら軍部に丸投げ状態です。対北朝鮮強硬派といわれるボルトン元米国連大使でさえ、『北朝鮮は脅威でも何でもない』とツイートし、実は相手にしていません」

 トランプ米大統領は訪日中の6日、都内の駐日米大使公邸で日米の企業トップらを前に演説し、「米国の対日赤字は年間700億ドルに達している」と指摘。

 その解消策として、「我々には世界で最高の軍需品がある。日本周辺で起きていることを考えると、(安倍政権の)米国製の防衛装備品購入は正しい選択」と話し、弾道ミサイル防衛システムの導入を強く促した。

 さらに首脳会談でも、米国製の防衛装備品購入が議題となり、会見でトランプ大統領は「F35は世界最高の戦闘機だし、さまざまなミサイルも製造している。米国に多くの雇用が生まれるし、日本が安全になる。重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」と念押し。

 安倍首相は「F35Aや新型迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aなどを米国から導入する」とした上で、「イージス艦の量、質を拡充していくうえで、米国からさらに購入していくことになるのだろう」と応じた。

 前出の孫崎氏はこう指摘する。

「日米にとって一番大事な点は北朝鮮を利用し、緊張状態を高めること。トランプ氏はビジネスマンですから、日米共に軍事予算が増え、自国の軍産複合体が肥えれば十分なんです。日本は巨額な装備品代をふっかけられても、買わざるを得ない貢ぎ外交です」

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