──実際に滝田監督とやってみて、いかがでしたか?

 映画って、“組”によって全然やり方がちがうんですよね。「監督が絶対」という組もあれば、「みんなで一緒に作ろう」という組もある。滝田組はどんなふうにやるんだろうと思って現場に入ったんですけど、完全に後者でした。作品の印象から、渋くてこだわりの強い監督を想像していたら、ぜんぜん渋くなかった(笑)。やさしくて、よく笑う方で、現場がものすごく明るかったです。

──二宮さんは監督に、いろんな提案をされたと聞きました。

 夕方5時6時には撮影が終わっていたので、家に帰ってお酒飲みながら撮影や作品について考える時間がけっこうあったんですよ。そうやって考えたことを提案すると、監督が「やってみようか」と言ってくださる。自分の提案が断られることはなかったですね。もちろん、使う・使わないは監督が決めることですが、「役者がやりたいということはやらせてやろう」というスタンスなんだと思います。現場のストレスをためないということを本当に大切にされている方でした。「あれはどうか」「これはどうか」と提案すると、二つ返事で「いいね」と言ってくださる。あんまりやさしいので、「俺、滝田監督の孫なんじゃないか、『あれ買って』って言ったら買ってくれるんじゃないか」って思ったくらい(笑)。

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