「主人も私も大分出身。主人は竹田市の岡城がモデルの『荒城の月』を朗々と歌い上げることが多かった。主人は『ママ~。子どもたちが聴いてないよ』と嘆いていたので、『大丈夫。ちゃんと聞こえてるよ』と言いました(笑)」

 玄関を入ってすぐの柱には、「背くらべ」の歌詞と同じように、子どもたちが背を比べた傷が今も残っている。こどもの日にこいのぼりを揚げると、「こいのぼり」の歌詞と違って、「屋根よりひ~く~い、だよね」と笑い合ったという。

「思い出になれば、一般的な童謡がその家のオリジナルの歌になるんです。主人は『おかあさん』を歌うとき、『おかあさんっていいにおい』を『おとうさんっていいおとこ』と替え歌にしていましたし(笑)」

 童謡は親子のコミュニケーションのツールでもあり、家族で「ずいずいずっころばし」を歌って遊ぶなど至福の時間の思い出が、佐藤さんにはたくさんある。

「一緒に『肩たたき』を歌いながら、小さな手で肩をたたいてくれました。そのうち肩に立って、歌に合わせて足踏み。肩凝り性なので、気持ちよかったですね」

 思い出は親子の一生の財産。ぜひ、お孫さんやお子さんに歌ってあげてはいかがだろうか?(庄村敦子)

週刊朝日  2017年11月10日号