ファンが熱い期待を寄せるJRAの藤田菜七子騎手(c)朝日新聞社
ファンが熱い期待を寄せるJRAの藤田菜七子騎手(c)朝日新聞社

 日本中央競馬会(JRA)の藤田菜七子騎手(20)=美浦・根本厩舎所属=が10月21日、JRA女性騎手の年間最多勝記録となる12勝目をあげた。今年のレースはあと2カ月余りだが、どこまで記録を伸ばせるか。

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 昨年デビューし、中央競馬で16年ぶり7人目となる女性ジョッキー。たちまちアイドル的存在となり、競馬界では菜七子フィーバーが起きている。

 ビジュアル先行で注目されてきたが、腕前はどうなのか。関東・美浦の藤沢和雄調教師は、こう評する。

「そもそも、女性騎手は対比するものが少ないからね。男性と女性との間には体力の違いがあるが、その中でよく頑張っているんじゃないですか」

 中央競馬では目下、ミルコ・デムーロ騎手、クリストフ・ルメール騎手ら外国人騎手が活躍し、日本人がふがいない。若手騎手育成に対する期待は高い。

 JRAで通算2248勝(10月20日時点)をあげている大先輩、柴田善臣騎手(51)はこう話す。

「藤田くんもそうだけど、若手が頑張っているね。横のライバルがいっぱいいるのはよいことで、みんな一生懸命。藤田くんはだいぶレースの流れに乗れるようになってきた。集中力があるところが長所」

 JRAのホームページによると、体重は柴田騎手が53.0キロ、藤田騎手が45.6キロと、藤田騎手が7.4キロも軽い。レースでは馬が背負わなければいけない斤量(負担重量)があらかじめ決まっている。体重が軽ければ、減量の心配がないなど有利な面もあるのだろうか。

「体重が軽いと、重りを入れなきゃいけないから、きついんじゃないかな。まぁ、そんなに大きな影響はないと思うけれど」(柴田騎手)

 競馬界からの期待を一身に集める美人ジョッキーの今後はどうなるか。

「今のまんま、努力していくことだと思います。記録の更新だけではなく、もっと上をめざしてがんばってほしい」(同)

「藤田さんに騎乗してもらったことはまだないですが、機会があれば、お願いしたいと思っています」(藤沢調教師)

 いつの日か、桜花賞、日本ダービー、有馬記念などのGIレースの大舞台でも優勝し、「菜七子コール」を巻き起こしてほしい。(本誌・上田耕司)

週刊朝日 2017年11月3日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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