電波望遠鏡を使った“宇宙人探し”は、アメリカやオーストラリアなど各国で行われている。中でも注目を集めているのが、電波望遠鏡同士を連携させ、地球外知的生命が発した電波を捉える、「ブレークスルー・リッスン」と呼ばれる大型プロジェクトだ。同プロジェクトは、ロシアの投資家が10年にわたって115億円の資金を投入して行われるもので、宇宙論の権威とされるスティーブン・ホーキング博士をはじめ、世界中の著名な科学者らが参加を表明している。

「地球外生命の発見は夢ではなく、手が届きそうというところまで来ています」

 国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室長・田村元秀さんは言う。

 根拠は、大きく分けて二つ。一つは望遠鏡などの技術が進み、観測範囲が広がったこと。例えば、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機で、19年春にNASAが打ち上げ予定の「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」は、主鏡の大きさは6.5メートルとハッブルの約3倍で、高性能の赤外線カメラにより、宇宙誕生のビッグバンから2億年後、今から約136億年前の光を観測することができるという。

「“地球から近い”天体は、水や酸素など生命の証拠となるものがあるか、隅々まで調べられるようになる」(田村さん)

 さらに、地球のように生命が住めるような場所が、宇宙の中で多く見つかってきたことも、大きな前進だ。今年2月、NASAが「地球に似た七つの惑星を発見」と発表して、世界中の注目を集めた惑星系「トラピスト1」もその一つだ。同惑星系は地球から約40光年という比較的近い場所に位置し、三つの惑星の地表には海があり、生命が存在する可能性もあるという。昨年には、地球から最も近い約4光年という「宇宙的には目と鼻の位置」(同)という場所で、水や大気が存在して、重量も地球に似ている惑星「プロキシマb」も見つかっている。

「生命体がいる可能性が高いのは、このトラピスト1とプロキシマbでしょう。恐らくJWSTによって、5年後には糸口が見つかる可能性が高い」(同)

 日本も負けていない。田村さん自身も、惑星探査の中で長年、地球外生命を探している一人だ。田村さんが率いる日本独自の研究は、建設費約400億円をかけて造られた、口径8.2メートルの光学赤外線望遠鏡「すばる望遠鏡」を使った観測だ。半年後には惑星の重さや公転周期を測定できる新機能を搭載し、本格観測を始める予定だ。田村さんは言う。

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